とあるバーでの会話…
『マスター、聞いてくれよ…。俺はもう疲れたよ…。』
「一体どうしたんですか?」
『実はこないださ…』
「あ、すいません!ちょっとトイレに!」
『あ、ああ…。行ってきてくれ…。』
「ちょっと失礼…。」
10分後
「お待たせしました。」
『お帰り…。まさか大きい方だとは思わなかったよ…。』
「さあ、私はスッキリしたので、今度はお客様が愚痴を吐いてスッキリする番ですよ。」
『…。あ、ありがとう。そうさせて貰うよ…。』
「その前に何か飲みますか?」
『ああ…そうだね。それじゃカルーアミルクを。』
「カルーア抜きで?」
『マスター、それを抜かれたら俺は牛乳を飲まなければならなくなっちゃうよ…。』
「そうですよね…。じゃあ抜いときます。」
『いや、そこは抜かないでくれ。』
「わかりました。」
『さて、話の続きだが、こないだボーリングに行ったんだよ。』
「はい」
『そこでさ、俺の1ゲームのスコアが48点だった訳よ!』
「なるほど。それはそれは…。」
『そしたらよ、AKBってあだ名を付けられたんだよ…。』
「トレンディなあだ名ですね。」
パチ パチ パチ パチ
『マスター、拍手なんかやめてくれよ…。』
「いや、爪を切ってました。」
『…。今は爪よりも俺の事を気にしてくれないか…。』
「そうですね。失礼。」
『俺よ、昔からボーリングが苦手だったし、何よりボーリングをしたの数年ぶりでさ!感覚が掴めなくてさ…。』
「言い訳maybeですね!」
『マスター…。あ、俺いま上手いこと言った!まじイケメン!みたいな顔してるけどさ、そうでもないからな…。』
「まさか、まじイケメン!の所まで読まれるとは…。さすがですね。」
『まあ、マスターは読みやすいからね…。』
「それじゃ、今私が何を考えてるか当ててみて下さい!」
『いや…。そんな事より俺の…。』
「さあ!」
『私の考えてる事わかるかな♪って考えてるんじゃないか?』
「ど、ど、どーしてわかったんですかー!お客様はAKBじゃなくてサトラレですか?」
『サトラレだと俺の心が皆に読まれちゃうだろ…。後、AKBって言うな…。』
「私はAKBの心を覗いてみたいな♪」
『マスター…。今俺の中でマスターへのイライラ度を10段階評価で表すと13くらいだよ…。』
「限界突破ですね!」
『そうだよ。そして俺の我慢も限界突破しそうだよ…。マスター!』
「何でしょうか?」
『次に俺の事をAKBと言ったら…。』
「言ったら?」
『マスターの国語の辞書で恋と言う字を引いて、そこに俺の名前を追加しとくからな!』
「AKBらしくない攻撃ですね…。」
『貴様!!辞書と鉛筆を今すぐ持ってこい!』
「え…お客様落ち着いて下さい。もう言いません!」
『はあはあ…。失礼。取り乱した。』
「実は私も今悩みがありまして…。」
『ほう。それは気になるな。』
「お客様程大した悩みじゃありませんけどね。」
『良かったら聞かせてくれないかな』
「ええ。こないだお昼ご飯を食べながら祖母と一緒にNHKの朝ドラを観ていたんですよ。」
『ひよっこだな。俺も仕事の前に観たりするよ。』
「そしたら、祖母がこんな事言ったんです。」
『うん』
「お待たせしました。カルーアミルクのカルーア抜きです。」
『ここでかよ!てか、カルーアを抜くなと言っただろうが…。』
「その時のセリフが衝撃的で…。」
『…スルーかよ』
「やっぱりNHKのドラマに出てる人は、朝の時よりお昼の時の方が演技がイキイキしているね~。って言うんですよ!」
『えっ?』
「ね?衝撃的でしょ?」
『確かにな…。』
「だから言ったんですよ。」
『うん』
「おばあちゃん。朝の時の方が演技がフレッシュでイキイキしているよ!」
『えっ?』
「そしたら大喧嘩ですよ…。ここ数日、おばあちゃんとは口を聞いてません。」
『なるほど、悩みって言うのはおばあちゃんの事か。』
「いえ、明日歯医者行くんですけど、痛かったら嫌だな~って思って…。」
『おばあちゃん関係ないやん!』
「お客様は歯医者は苦手ですか?」
『当然の如くスルーしてきたか…。』
「私は嫌いですね~。」
『そうだな…。最近の歯医者さんは痛くて左手を上げても、もう少しだから我慢してくださいね~♪とか言ってくるからな…。』
「そうなんですよ…。」
『ところでマスター…。』
「はい?何でしょうか」
『さっきのNHKの朝ドラの話をしてきた理由はなんだ?』
「ああ、お客様はどっち派かな?と思いまして。やっぱり朝のが良いですよね?」
『なあマスター…。お昼のは朝のやつの再放送だから、どっちも同じ映像なんだよ…。』
「えっ?そうなんですか?」
『そうなんだよ。』
「そうだったんですか…。はい、カルーアミルクに入れるカルーアです。」
『今更かよ!もう牛乳飲んじゃったよ!』